【講師対談】発達特性のある小中学生への教育を考える②

第2部:社会性 ― SSTと体験イベントで「人と関わる力」を育てる

「勉強だけできても、生活がしんどかったらつらい」

―すばるゼミでは、学習と同じくらい「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」にも力を入れていますね。


澄井:はい。どんなに学力がついても、

・友だちとの関係がうまくいかない

・自分の気持ちをことばにするのが苦手

・場のルールが分からなくて、トラブルになりやすい

こういったことで毎日しんどい思いをしていると、結局「学校に行きたくない」「勉強なんてやりたくない」となってしまいます。だから、学力と同じくらい「社会性」を育てることが大事だと考えています。


すばるゼミでは、

・公認心理師によるSSTクラス(年間6回の特別クラス)

・中学生向けのコミュニケーションスキルアップクラス(以下、CSU)

・月1,2回のSSTイベント(イベント体験、職業体験、施設見学、遠足など)

といった形で、「人と関わる力」「生活する力」を育てる機会を用意しています。


「SSTは 教わる時間 ではなく、練習の時間」

中山:SSTというと、「ルールを教える」「マナーを教える」といったイメージを持たれる方もいますが、すばるゼミのSSTは「一緒に練習してみよう」というスタンスです。


たとえば、

・SNSでのメッセージの送り方(中学生向け)

・友だちにお願いごとをするときのことばの選び方

・「イヤなこと」を断るときの表現の仕方

など、子どもたちと一緒にロールプレイをしたり、カードを使って考えたりしながら、「こう言われたらどんな気持ちになる?」という感覚を、少しずつ育てていきます。


澄井:大人でも難しいテーマですよね(笑)。

だからこそ、「できてないね」と指摘する時間ではなく、「一緒に考えてみよう」「練習だから失敗しても大丈夫」という安心感を大事にしています。




「イベントで体験する“社会”は、教室の延長線上にある」

澄井:SSTの延長として、月に一度くらいのペースで、

・水族館や文化施設へ社会科見学

・パン屋さんでの職業体験

・ハロウィンやクリスマスなどの季節イベント

・ハイキングや釣りなどのお出かけ

といったイベント型のSSTも行っています。

たとえば先日のハロウィンイベントでは、くるくるレインボーの販売を実践しました。


・挨拶をする

・お金を受け取ってお釣りを渡す

・「ありがとうございました」を言う

こうした一連の流れを「実際にやってみる」ことで、机の上では身につきにくい力が育っていきます。


中山:イベントのとき、普段は教室で静かにしている子が、急に頼もしい一面を見せてくれることもありますよね。


澄井:そうなんです。教室では目立たない子が、外の場面ではとってもよく気がついて、友だちを助けてくれたりする。そういう姿を見られるのは、私たち教員にとっても嬉しい瞬間ですし、その子の自己肯定感にもつながります。


中山:他にも教室内でおこなうダンスやジャグリング、工作活動など多彩なSSTイベントを企画しています。


③へつづく>>

澄陽学園  すばるゼミ

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