「学び」と「社会性」を支える、すばるゼミの現場から――
澄陽学園すばるゼミ設立から1年経った今、原点を語る
教室運営を始めてから1年経過し、生徒数も50名近くとなりました。
現在講師の方の求人募集をしており、募集にあたって、「すばるゼミの先生って、どんなことを大切にして教えているの?」という問いにお答えするため、澄井先生と中山先生に、あらためて「発達特性のある小中学生への教育」について語り合ってもらいました。
今回のテーマは、大きく2つです。
1. 学習面(国語・算数などの「学び直し」)
2. 社会性(SSTやイベントで育てる「人と関わる力」)
第1部:学習面 ― 「わかった」「できた」を小さく積み重ねる
「まずは、今の理解を正確に知ることから」
―発達特性のある小中学生への「学習支援」で、すばるゼミがいちばん大事にしていることは何でしょうか?
澄井:一言でいうと、「子どもが今どこまでわかっているかを、正確に把握すること」です。学校では、学年の進度に合わせて授業が進んでいきますが、発達特性のある子どもたちの中には、学年の内容以前に、もっと手前の段階でつまずいていることが多いんです。
すばるゼミでは、テストだけで判断するのではなく、
・ノートの書き方
・説明したときの表情や反応
・「わかった?」と聞く代わりに、カードやジェスチャーで理解度を示してもらう
といった、いくつかのサインを丁寧に見ています。
「できないからダメ」なのではなく、「今はここまでわかっている。その少し先を一緒にやろう」というスタンスを大事にしています。
「学年をさかのぼっても、子どもは平気で楽しむ」
中山:小学校高学年や中学生になってから、「実は九九があやしい」「文章問題になると、どこから読めばいいかわからない」といった相談を受けることがあります。
保護者の方は「今さら、下の学年の内容をやらせても大丈夫でしょうか」と心配されますが、子どもたちは意外と平気で、むしろ楽しそうに学び直すことが多いんです。
たとえば算数なら、
- 九九の「表」を見ながら、パズル形式で組み立てる授業
- 円周や面積を、実際に板を転がしたり水を量ったりして体験する授業
国語なら、
- 漢字カルタやカードゲームで「読む」ことから始める授業
- 「ヒント遊び」で言葉を推理する授業
など、「遊び」と「学び」をうまく混ぜることで、学年をさかのぼることへの抵抗感が薄れ、「これならできるかも」という感覚を持ってもらいやすくなります。
「少人数だからこそ、『自分でできた』をちゃんと味わえる」
澄井:すばるゼミは、完全なマンツーマンではなく、**少人数制**にこだわっています。
- 一人ひとりのペースを大切にしつつ
- かつ、周りの子の存在を「刺激」や「励まし」として感じられるように
このバランスが、発達特性のある子どもたちにはとても大切だと考えています。一問解けたら、先生だけでなく隣の子も「おー!」とリアクションしてくれます。そうすると、「自分で考えて、できた」ことが、ちょっとした「成功体験」として心に残るんですね。
中山:できなかった問題を、もう一度やってできるようになったときの顔は、本当にいい顔をしてくれますよね。すばるゼミの授業で大切にしているのは、完璧を目指すことではなくて、「前の自分よりできるようになった」と本人が感じられるかどうかです。
0コメント