2024年9月に神奈川県相模原市に開校した発達特性がある子どものための学習支援塾「澄陽学園 すばるゼミ」。教室長の澄井俊哉さんをお招きして、 これまでの教員生活の中で大切にされてきたことや子どもたちの自己肯定感を高めるために重要視されていること、すばるゼミの特徴等について、すばるコレクト運営の生田目康道がお話をお聞きしました。
ゲスト
澄井俊哉(すみい としや)
「すばるゼミ」教室長
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第3回「わかった」「できた」の積み重ねで自己肯定感を、さまざまな体験からは社会性を育みます
生田目
すばるゼミでは少人数での「学びなおし」と「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」のための各種コースを用意しました。これらのコースを検討するにもたくさんの議論をしましたね。たくさんの議論のおかげで子どもたちにとって本当に良いコースがつくれたと思っています。
澄井
はい、私もそこには自信をもっています。少人数での「学びなおし」ができることで、子どもたちの自信、「自分でする。自分でできる。」という力を引き出すことができます。学校教育の現場でも、もちろん子どもたちの考え方を引き出しながら、理解を深めていくことを大切にしています。
しかし、その学習活動の中では、どうしても、理解を深めていくことのできない子どもたちがいます。目の前の学習を解決するための十分な学力をもっていないまま、授業に臨んでいる子どもたち、世間一般にいうグレーゾーンの子どもたちです。まじめに授業に参加していても、理解ができない。学習障害とまでは言い切れないが、学力の遅れは目に見えている。そんな子どもたちです。
そういう子どもたちは得てしておとなしく授業を受けているので特に教師を困らせることはありません。でも学習の理解は深まらず、ほとんど伸びていかないのです。私は、そんな子どもたちの力になりたいと思っています。
生田目
そうですね、「学びなおし」をすることで、「わかった」「できた」を積み重ねることで自信をもって成長する姿、子どもたちが笑顔になっていく姿を見ていると、私自身とても嬉しくなります。それこそが私たちが目標としている、「発達特性のある子どもの就労・自立のファーストステップを担う」ことなのではないかと思います。
また、「学びなおし」と同様に「SST」についても、小学校低学年向け、中・高学年向け、中学生向けといったクラスとイベントでとても充実していますね。
澄井
SSTは、友だちとのコミュニケーションであったり、自分の生活の見直し等を意図的にトレーニングしたりすることで、学びと社会性を育むために大切です。
生田目
実際にSSTの内容を見ていると、子どもたちだけでなく大人にとっても、かなり参考になる内容が多いですね。
澄井
確かに、自分自身には身についているかなとちょっと「ドキッ」とする内容もあるかもしれません。
すばるゼミでは、通常の学習指導の中でもSSTの要素を取り入れています。
単なる学力アップだけでなく、「人と関わる力」「伝える力」「協力する力」を育むことを学習のねらいの一つとして、指導を展開しています。そこにさらに、公認心理師によるSSTをメインにした年間6回の特別クラスと中学生のためのコミュニケーションスキルアップクラス、すばるゼミイベントとして実際の社会やさまざまな体験を通して、社会性やコミュニケーション力を育むプログラムも用意しています。
▲SSTイベント 水族館へ出かけたり、パン屋さん体験をしたり
生田目
通常の授業の中でもSSTが取り入れられているのはとても良いですよね。また、イベントもとても魅力的だと思います。
イベントは、「楽しみながら学ぶ」ことを大切にしており、仲間と協力したり、新しい人や環境に適応する経験を積んだりすることで、実践的なスキルを自然に身につけていくプログラムですね。この『楽しみながら』ということが重要だと考えています。
澄井
そうですね、ハイキングや職業体験、季節のイベントなど実際の体験を通じて、日常生活や将来の社会生活に役立つスキルを楽しく学べるのが、すばるゼミのイベントSSTの特徴です。
生田目
楽しく学べるという観点で言えば、ゼミ環境もとても充実できたと思います。500冊を超える本が並ぶすばるライブラリーや、オリジナル通貨、ゼミ内の駄菓子屋さんやフリースペースなど、澄井先生らの今までのご経験を活かしたとても素晴らしい環境を整えることができました。
澄井
ありがとうございます。子どもたちが自信と誇りをもって将来に向かって羽ばたいていくために、教育への情熱と子どもたちへの愛情をもって一人ひとりの成長を見守り、支えていきたいと思います。
すばるコレクトでの連載を通して、親子のコミュニケーションが豊かになるお手伝いができれば
生田目
すばるゼミの授業では、澄井先生が長年教育で培ってきた、発達特性のある子どもたちへ学習させるための工夫がちりばめられています。
澄井
今回、この対談記事が掲載される「すばるコレクト(当サイト)」で、「数」と「ことば」の学びに関する連載を書かせていただくことになりました。ご家庭で親子で楽しみながら実践できることを考え、皆さんにお伝えできたらと考えています。
これは、成績のため、テストのために親が勉強を教える、ということではなく普段の生活の中で自然と身につけるため、子どもとのコミュニケーションを豊かにするために活用していただけたらと思っています。
生田目
連載は1年くらい続くそうですね。
澄井
はい、連載を通して、親子のコミュニケーションのきっかけが生まれ、何か新しい気づきや視点が生まれることにつながってほしいと思っています。
滞ることなくしっかり続けていきたいと思いますので、ぜひ皆様にも楽しみにしていただきたいです。
生田目
澄井先生の授業の様子が垣間見られるでしょうから、期待しています!
本日はありがとうございました。
澄井
ありがとうございました。
【プロフィール】
生田目 康道(なまため やすみち)
株式会社JPR 代表取締役 社長(プリモ動物病院)
株式会社QIX 代表取締役 社長
株式会社EDUWARD Press 代表取締役 会長
株式会社QAL startups 代表取締役共同CEO
一般社団法人日本ペットサロン協会 専務理事
株式会社MIHAO 代表取締役社長(すばるゼミ)
澄井俊哉(すみい としや)
グレーゾーンと発達障害の子どもたちの特性サポート型学習塾
すばるゼミ 教室長
1984年相模女子大学小学部に赴任。
「わかる授業、楽しい授業」に向けた指導のあり方を長年研究し続け、「総合学習」のカリキュラムの作成、「学習毎日プリントクリアー」の開始、「漢字ベルトタイムと漢字検定」の導入などを推進した。2016年に副校長に就任。コロナ禍においては、子どもたちのために、本の読み聞かせを200冊以上校内で配信。日本全国私立小学校連の研究大会において2013~2015年の間、国語部会の全国委員長を務める。
当記事は、2025年2月に実施したインタビューからすばるコレクトに掲載されたものです。
(すばるコレクト編集部)
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