2024年9月に神奈川県相模原市に開校した発達特性がある子どものための学習支援塾「澄陽学園 すばるゼミ」。教室長の澄井俊哉さんをお招きして、 これまでの教員生活の中で大切にされてきたことや子どもたちの自己肯定感を高めるために重要視されていること、すばるゼミの特徴等について、すばるコレクト運営の生田目康道がお話をお聞きしました。
ゲスト
澄井俊哉(すみい としや)
「すばるゼミ」教室長
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第2回 子どもの自立と就労へつながる基礎力支援と保護者の悩みを解決するしくみをつくりたい
澄井
獣医学出版社であるEDUWARD Press(エデュワードプレス)が、ペットと動物医療というところとは全く異なる異業種メディアのすばるコレクトを開設した理由を教えていただけますか?
生田目
そうですね、その部分は皆さんが一番疑問に思われる部分だと思います。実際、会社のスタッフたちからも、ペットと動物医療の仕事は辞めるのですか? と聞かれたこともあります。
第一に、私たち家族がずっと困っていたという理由があります。澄井先生もご存じの通り、私の子どもたちのひとりには発達特性があり、学習に軽度の遅れがあります。
・子どもと向き合う中で、勉強の教え方がわからないし、教えてくれる場所がない。
・子どもの発達特性について継続的に相談できる場所がない。
・子どもの長所を見つけるための習いごとをさせる場所がない。
将来の自立や就職をどうしたらいいかわからない、という悩みを抱えていました。
そしてこの悩みは、まわりの保護者たちも全く同じでした。皆、子どものために良い方法を探すことの難しさを感じていました。
澄井
そのような悩みを抱えている保護者の方はとても多くいらっしゃると思います。基礎力向上や教育で困っている、でもそれを相談できる場もないし、どうしたらいいか分からないままに時間が経ってしまうのが現状だと思います。
生田目
はい、その通りです。私の場合は、わが子が小学校3年生のときから澄井先生に補講と個別指導をしていただき、進学の助言をいただいたことで、子どもの長所を伸ばしてあげつつ、成長をサポートしてあげることができています。
この事業を始めるにあたり、最後に背中を押したある保護者の言葉があります。
「私は、何があっても先には絶対に死にません。この子のために120歳まで生きると決めているんです」
この言葉に、とても強い衝撃を受けたことは今でも鮮明に覚えています。
私たちが見据えるべきは、子どもたちの現在に加えて、彼・彼女らが20歳になったときの世界なのだと気づかされました。子どもの自立や、就業のときに備えた生きる力の基礎をつくるファーストステップとして、彼・彼女らが楽しく自己肯定感を高めながら基礎的な力を高めていく支援をしなければなりません。
さらに、その過程で忘れてはいけないのが保護者の方たちの悩みを一緒に解決する仕組みをつくることです。
そんな居場所としての澄陽学園 すばるゼミをつくらなければならないと思いました。そしてそこには、子どもの特性を理解し、指導できる澄井先生の力が必須であると確信しました。
澄井
ありがとうございます。私自身も40年あまり小学校教師として勤める中で、毎年のようにたくさんの保護者の方々とお話をしてきました。
生田目さんがおっしゃったような悩みを抱えていらっしゃる方もとても多く、その子どもたちをサポートしきれていないことをとても歯がゆく思っていました。
今までの指導経験の中で強く感じていること、それは「子どもたちの将来に必要な力。それはことばの力と生活に根差した算数の力、それらを含む必要な習慣を身につける力である」ということです。
それらを繰り返し学習することで、その力を身につけ、子どもたちの自信を育てたいと思っています。
また、その学習を通して、【所属感】【有用感】【達成感】の3つの感を育み、自己肯定感を高める指導を実践することが、子どもたちにとってはとても重要です。
生田目
そうですね、言葉を使う力と算数の力、これらの基礎学力を向上させることは、子どもたちの自己肯定感を高めることにつながり、彼らの自信を取り戻すことに間違いなくつながります。だからこそ、すばるゼミが必要であると思っています。
澄井
子どもたちが「自信と学ぶ意欲を育む」ための教室、=すばるゼミの開設につながったわけですね。
生田目
はい。すばるゼミの社会的な役割は3つと位置づけています。
1つ目は「保護者の自分の子どもに対する不安を解消するためのサポートをする」
2つ目は「好きを知り、基礎学力向上により子どもの自己肯定感をあげる支援をする」
そして3つ目は「発達特性のある子どもの就労・自立のファーストステップを担う」です。
なかでも、保護者の不安の解消は重視しています。
いち保護者でもある私自身が子育てをしてきた中で、さまざまな場面で不安を感じてきたように、多くの保護者の方々は誰に相談してよいかもわからない状態であると思うんですよね。
澄井
そうですね、そのような状態を解決するためにも、すばるゼミでは、個別の相談会や発達支援に関する専門講師らによるセミナーも開催します。
子どもたちだけでなく保護者の方々も心の拠り所としてすばるゼミを活用していただけたらと思います。
第3回へ続く
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