2025年3月1日発達特性のある子どもと家族のための進学・就労メディア「すばるコレクト」でインタビュー掲載をしていただきました。以下、記事をご紹介します。
“自信と学ぶ意欲を育む場所”をつくる~第1回
2024年9月に神奈川県相模原市に開校した発達特性がある子どものための学習支援塾「澄陽学園 すばるゼミ」。教室長の澄井俊哉さんをお招きして、 これまでの教員生活の中で大切にされてきたことや子どもたちの自己肯定感を高めるために重要視されていること、すばるゼミの特徴等について、すばるコレクト運営の生田目康道がお話をお聞きしました。
ゲスト
澄井俊哉(すみい としや)
「すばるゼミ」教室長
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第1回「子どもたち一人ひとりを大切にする」環境下で、「学ぶって楽しい!」を感じてほしい
生田目
今回は、澄陽学園すばるゼミの澄井俊哉先生にお越しいただきました。澄井先生とはいつも顔を合わせていますが、本日は対談の形式でお話を伺いたいと思います。
本日はよろしくお願いします。
澄井
はい、よろしくお願いします。
生田目
さっそくですが、あらためて澄井先生のご経歴をお聞かせください。
澄井
私は、私立小学校で教員として40年間教育に情熱を注いできました。実は小学校時代の恩師に憧れて教員を目指しました。あの恩師の存在がなければ今の自分はいないと思うと、感慨深いですね。
学級担任や管理職の立場で「よりよい学校にしよう」と学校運営にも携わってきました。学年を超えた児童同士の関わりを活かした活動を提案したり、子どもたちが生き生きと学校生活を楽しめるような工夫をしたりしてきました。
また、コロナ禍においては子どもたちのために本の読み聞かせを配信し、その冊数は200冊を越えました。一方で他の先生たちの力になるという部分にも力を入れてきた教員生活でした。
生田目
ありがとうございます。200冊とは素晴らしいですね! 澄井先生が教員生活の中で大切にしてきたことは何ですか?
澄井
「子どもたち一人ひとりを大切にする」ということです。
これは、すばるゼミのホームページでも自己紹介のところで載せているのですが、子ども一人ひとりの様子、良さや課題、そういったところをよく見るようにして、子どもたちにどのようにアドバイスをしたらよいか、というところを考えてきました。
その中で一番力を入れて取り組んでいたのは「授業づくり」です。
生田目
本当に大事だと思います。私も子どもたち一人ひとりの個性を尊重し、その特性を最大限に活かす教育を提供していきたいと思っています。
特に力を入れてきたという「授業づくり」について詳しく教えていただけますか?
澄井
はい。授業というのは、一方的に教師が教えるのではなく、子どもたちの意見をたくさん引き出して、大勢の子が活躍する。そして、子どもたちみんなで「学ぶって楽しい!」と感じることが大切です。
授業の中では、子どものちょっとしたつぶやきを逃さずに拾って子どもたちに伝えていきます。そうすることでお互いの色々な見方や考え方を相互に吸収することができます。
そして、安心して自分の考えを発信する、こういったことが実は学習ができるということの背景にある重要な要素だと思っています。
生田目
楽しい!という気持ちが生まれなければ、学習に対する意欲をもつことはできないですね。学習の楽しさに気づかせてあげられるかどうか、それが重要になりますね。
澄井
はい、さらに言えば、少人数の集団で学ぶことが一番良いと私は考えています。少人数だと教師も子どものつぶやきがよりよく聞こえてくるので、それを拾ってあげることができます。
特に授業の内容がわかっていない子どもたちのつぶやきが重要で、その言葉を拾って、他の子どもたちに返してあげることからコミュニケーションが生まれ、そこに自己肯定感が生まれてくるんです。
だから、学習の中で自己肯定感を育むには、少人数の集団というのがとても大切なのです。
生田目
自分のつぶやきを拾ってもらえた、そしてそこからコミュニケーションが生まれ、自分のつぶやきが周りの役に立った、認められたという意識から自己肯定感が育まれるのですね。とてもよくわかりました。
少人数の集団での学びが良いと澄井先生が気づいたきっかけは何かあったのですか?
澄井
はい、小学校の教員生活の後半に管理職となったときに「放課後に勉強を見る」ということを始めました。最初は、1人のお子さんと1対1で始めた試みでした。1対1というのは集中力もあって良いと考えられがちですが、子どもにとってはシンドイと感じるときもあると思います。
さらに、2、3人で学んでいると、それぞれの得意な箇所と苦手な箇所は異なってくるので、自分がわからないときは横のお子さんの動きを見ながら流れをつかむことができるので、双方が良い刺激を受けることができます。
結果的に、1人のときの学習の伸びと2,3人入ったときの子どもの伸びは大きく違いました。これが少人数の集団での学びが個々のお子さんたちの能力を伸ばしていくために必要であると私が強く意識した経験でした。
生田目
どちらかというと学習を進めるうえで、個別に1対1でその子自身の学習の進み具合に合わせて丁寧に進めていくことが子どもの成長の中では良いのではないかと考えていました。ですが、澄井先生のお話を聞いて集団で学ぶことの重要性を知ることができました。
第2回に続く
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